1982年の初開催から今年で36回目を迎えるジャパンオープンは、国内で開催されるバドミントンの世界大会として知られていますが、今年からダイハツがスポンサーに加わり、大会名も『ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン2017~バドミントン選手権大会~』になります。そこで今回は、ご自身も出場経験のある小椋久美子さんに、本大会の魅力と見どころについて語っていただきました。
『ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン2017~バドミントン選手権大会~』ってこんな大会

『ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン2017~バドミントン選手権大会~』は、世界バドミントン連盟(BWF)が認定している世界大会で、日本国内で行われる最高ランクのバドミントン大会です。私たち日本人選手にとっても特別な存在で、日頃世界で活躍している選手たちも、日本のファンの人たちの目の前で良いプレーをしたいという気持もあって、海外での試合よりも力を発揮できる選手が多いように思います。私も現役時代はベスト4まで行ったのですが、いつもとは違う力が出せたといいますか、一つひとつのプレーに重みを感じながら戦っていたように思います。

日本を代表する選手としての責任やファンの皆さまの応援など、いろいろなものを背負ってプレーするのですが、それがプレッシャーではなく戦う力になる、日本の選手にとってこの大会は、まさに“ホーム”で戦う特別な大会だと思います。
また現在は「スーパーシリーズ」というランクに属する大会ですが、来年からはオリンピックや世界選手権に次ぐ「スーパーシリーズプレミア」というランクに上がります。世界的にもさらに注目を浴びるようになり、世界ランカーたちも軒並みエントリーしてくるハイレベルな大会になるでしょう。
今大会の見どころは?

今大会の見どころは、3年後の東京オリンピックを見据えた、世界レベルの選手たちによる真剣勝負です。日本はもちろん、世界各国のトップレベルの選手たちがエントリーしてくるので、相当レベルの高い試合が繰り広げられると思います。オリンピックに向けてのスタートとなる大会ですので、バドミントンファンの皆さまには、ここから選手たちを追いかけて行って欲しいです。オリンピックまでの3年間で、選手たちがどのように成長していくのかを見届ける楽しみもあると思います。
もし、今回初めてバドミントンの試合を会場で見られるという方がいらっしゃったら、ぜひオススメしたい観戦ポイントがあります。テレビ中継などではコートを縦方向に映していますが、出来れば一度、横方向から見ていただければと思います。シャトルのスピード感や、ネットギリギリの高さでのショットなど、一つひとつのプレーの質の高さを感じることが出来ます。それと、ぜひ「音」も楽しんでください。スマッシュの音や選手たちの息づかいなど、耳から感じる臨場感というものもありますので。またコート上での選手たちの駆け引きも見所です。試合展開に応じて変化する選手たちの仕草や表情を見ていると、戦術だけではなく、細かな心理的な駆け引きもしているということが伝わってきます。
今大会の注目選手は?
男子シングルスはリー・チョンウェイ選手(マレーシア)が本命です。昨年も含めて本大会6回も優勝している選手ですが、とにかく華のある選手で、一つひとつのプレーがスムーズで美しく、優雅なフットワークは見ていて飽きません。人柄も良くて、マレーシアだけではなく世界中から愛されている選手です。また日本でのファンも多いリン・ダン選手(中国)も優勝候補です。リー・チョンウェイ選手との対決が実現すれば、日本で世界最高峰の戦いを見ることが出来ます。日本人選手では、成長著しい坂井一将選手や西本拳太選手、それに常山幹太選手が注目です。
女子シングルスは、世界的にもレベルが拮抗しているので、誰が優勝してもおかしくない激戦区。世界ランキング一位の台湾のタイ・ツーイン選手が本命ですが、日本の山口茜選手や奥原希望選手にも期待したいところです。特に山口選手はリオ五輪後に一皮むけたというか、センスに磨きが掛かった感があるので、今大会は要注目です。奥原選手も持ち前の粘り強さを発揮できれば、かなり上位に食い込めるのではないかと思います。

男子ダブルスでは、「ソノカム」こと園田啓悟選手と嘉村健士選手のペアに期待が集まります。低空戦が多く、スピード感と迫力のあるプレーはかなり見応えがあると思います。彼らはこれからの日本チームを引っ張って行くペアなので、ぜひ頑張って欲しいところです。またインドネシアのマルクス・フェルナルディ・ギデオン選手とケビン・サンジャヤ・スカムルジョ選手のペアにも注目です。昔からネット際での攻防に強いのがインドネシア選手の特長で、彼らもそのお家芸を引き継いでいます。技術はもちろんメンタルも強くないと出来ないプレーなので、「ソノカム」にとっても強力なライバルになるでしょう。

女子ダブルスには、髙橋礼華選手と松友美佐紀選手の「タカマツ」ペアが出て来ると思いますので、彼女たちはもちろん優勝候補です。安定した強さはありますが、ただリオ五輪以降世界の選手たちからかなり分析されていますので、簡単には勝たせてくれないでしょう。マレーシアのフン・ヴィヴィアン・カームン選手とウン・ケウェイ選手のペアも注目です。長身のヴィヴィアン選手が前衛で威圧感を漂わせているので、相手選手はかなりのプレッシャーを感じると思われます。
混合ダブルスでの注目は、ゴー・リューイン選手とチャン・ペンスン選手のマレーシアのペアと、インドネシアのリリアナ・ナッチル選手とタントゥイ・アマド選手のペアです。特にナッチル選手の男子顔負けのパワフルなプレーは圧倒的です。とにかく読みが早くてテクニックも抜群の選手です。日本からは、渡辺勇大選手と東野有紗選手のペアが出場すると思われますが、まだペアを組んで日も浅いペアなので、優勝争いに絡むかどうかは分かりません。ただ、渡辺選手の持ち味であるトリッキーなプレーに東野選手がついて行ければ、面白い展開になるかもしれません。東野選手も女性には珍しい前衛で、強気なプレーや機敏さでゲームを作る力がありますので、このペアにはぜひ注目して欲しいと思います。
大会当日、会場でお会いしましょう!
ジャパンオープンには、独特の雰囲気、カッコよさがあります。ライトダウンされた会場で、スポットライトに照らし出されたコートで繰り広げられる熱戦は、この大会ならではの演出です。会場全体がショーアップされて、まるで上質なスポーツエンターテイメントを見ているようなライブ感もあります。また応援席と選手たちとの距離感も近いので、世界のトッププレーヤーを間近に見ることも出来ます。長年のバドミントンファンも、リオ五輪からバドミントンに興味を持たれるようになった方も、日本で開催されるこの機会にぜひ、テレビの画面からでは伝わらない、会場ならではの観戦を楽しんでいただけたらなと思います。
一度生で試合を見ると、バドミントンに対する印象が、がらっと変わりますよ!
もちろん当日は私も会場に行きますので、皆さんもぜひこの機会に会場まで足をお運びください。9月に会場でお会いしましょう!!

【ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン選手権大会2017大会概要】
名称 | ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン2017 バドミントン選手権大会 |
---|---|
日程 | 2017年9月19日(火)~24日(日) |
会場 | 東京都 東京体育館 |
主催 | 公益財団法人 日本バドミントン協会(NBA) |
公認 | 世界バドミントン連盟(BWF) |
主管 | 東京都バドミントン協会 |
後援 | 東京都 |
冠協賛 | ダイハツ工業株式会社・ヨネックス株式会社 |
協力 | ベースボール・マガジン社 |
競技種目 | 男子単・男子複・女子単・女子複・混合複 |

小椋久美子【女子バドミントン元日本代表】
1983年三重県生まれ。8歳のときにバドミントンを始める。2000年に全国高校総体でダブルス準優勝、01年の全国高校選抜でシングルス準優勝。三洋電機入社後の02年には全日本総合バドミントン選手権シングルスで優勝。その後、ダブルスプレーヤーに転向し、北京オリンピックで5位入賞、全日本総合バドミントン選手権では5連覇を達成。10年1月に現役を引退。
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